約束されていた「スマート」ホームはどこにあるのか?

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約束されていた「スマート」ホームはどこにあるのか?

手の中にあるホーム

新型コロナウイルスの突然の流行に誰もが驚き、多くの人がステイホームを余儀なくされました。それを受け、さまざまな予測が飛び交っています。業界関係者の間では、人々が家電を使う時間が増えるにつれ、スマート家電が新たな爆発的増加の段階に突入するだとろう、ということで大きく意見が一致しています。

ストラテジー・アナリティクスの調査報告書によれば、2019年に1,030億米ドルだった世界のスマートホーム市場は、約11%の年平均成長率(CAGR)で成長し、2023年には1,570億米ドル規模に達します。しかし、実際のところ、これは驚くほどの成長率ではありません。
このトレンドは、全体的な消費者心理と一致しています。この数年間、スマートスピーカー以外のスマートホーム機器を導入した人はほとんどいません。新しいエアコンや食洗器の多くがインターネット接続に対応していますが、古い機器がまだ動いているため、急いで買い替えようとしていないのです。私たちが夢見て約束されていたホームオートメーションの実現は、まだ先の話です。

約束されていたスマートホームはどこにあるのか?スマートホームの実現になぜこれほど時間がかかっているのか?せっかちな人がそう尋ねるのももっともです。それでは、現状を分析してみましょう。

人気製品

前回、スマートホーム開発の大きなうねりがあったのは、2014年頃のことです。当時、IoTの台頭を受けて、スマートハードウェアが相次いで登場し、人々は待望の「ホームオートメーション」がついにやってきたのだと考えました。しかし、そのうねりが収まると、新たな試行錯誤のサイクルが始まり、スマートホーム業界はホームオートメーションを市場現象となる可能性のある「人気製品」に絞ることになりました。

過去数年間にわたる人気製品の開発と販売促進の過程で、いくつか大きな成果が得られました。その1つがスマートスピーカーの急成長です。スマートスピーカーは、全く新しい人間と機械の対話モデルを生み出し、オンライントラフィックの新たなゲートウェイとなりました。スマートスピーカーが自宅のコントロールセンターになるという可能性は、刺激的で、また有望です。スマートスピーカー市場は着実な成長を続け、反復的なアルゴリズムの計算に基づく新たな「セールスポイント」も考案されています。昨年後半からは、画面付きスマートスピーカーの人気が高まっています。

実際のところ、テーブルの上に立つ画面付きスマートスピーカーは、立てられたタブレット型コンピューターや小型のスマートTVと似てきています。この新製品は、ユーザーのエンターテイメントに対する要求のトラフィックゲートウェイと位置付けられ、多くのファンを獲得していますが、本当の意味での「ホームオートメーション」の原則からは外れつつあります。また、スマートスピーカーの高い人気は、大国の助成金に大きく依存しています。こうしたことから、この製品が本当にスマートホーム市場の「転換点」となるかどうかについては、議論の余地があります。

スマートホーム市場のあらゆる障壁を取り除くような画期的なただ1つの製品が市場に出回るのはいつになるのでしょうか?時間が経ってみなければ分かりません。現在、開発者は幅広い技術を利用できます。しかし、究極の「すべてを支配するデバイス」を開発するには、それらを幾通りも組み合わせ、アルゴリズムの計算や「実験用ラット」であるユーザーを対象とした試験を繰り返す必要があります。

アップル

1つの製品から始めるという戦略の背景にあるロジックは、基本的には「石を探りながら川を渡る」という格言の実例です。ただ1つの人気製品と本当のホームオートメーションの間に当然ながら存在する隔たりは、スマートホーム製品を1つのシステムに統合することでしか乗り越えることはできません。

これまでのスマートオートメーションの展開と導入は、主に「販売前」に頼っており、それを可能にしていたのは不動産デベロッパーやインテリアデザイナーでした。多くのスマートホーム企業にとって、彼らは投資家でもあります。しかし、ほとんどのエンドユーザーにとって、モデルハウスで目にするスマートホーム機器はそれだけの存在、すなわち見世物でしかないのです。エンドユーザーは、それらの使いやすさをあまり信用しておらず、スマートホーム技術がどのようにして生活に溶け込むのかをなかなか理解できません。さらに、スマートホームシステムが設置されても、ほとんどの投資家はそれらを管理する準備ができていないか、その意欲がありません。こうしたことが、包括的で持続的なスマートホームの閉じたエコシステムの構築を困難にしています。

業界内の誰かが、ホームオートメーションを推進し続ける一方で製品が辿る道筋を顧客と共に歩む気はない初期の投資家に取って代わってくれれば違うでしょう。市場のギャップを埋める最も有力な候補は、間違いなくインターネット企業やテック企業です。その好例として、シャオミの「1+4+X」戦略やファーウェイの「1+8+N」オールシナリオ対応型スマートホームサービス戦略、ハイアールの「5+7+N」スマートホームソリューション、ミデアとアリババクラウドが提案するAIスマートコミュニティなど、ここ数年で数多くの新製品が登場しています。

各社は最新技術を打ち出しながら、アップルに目を光らせています。結局のところ、ここ10年ほどは多くのガジェットがアップルから始まったのです。アップルの市場でのポジションは数年前から弱まってきているとはいえ、その影響力を見くびってはいけません。スマートホームセクターに関するアップルの計画は、間違いなく注目を集めるでしょう。

2020年アップル世界開発者会議(WWDC:Apple Worldwide Developers Conference)では、アップルがスマートホーム戦略への投資を拡大し続けていることが明かされました。今年秋にリリースされる予定のiOS 14は、HomeKitプラットフォームをさらに強力にサポートし、より統合されたセキュアなスマートホームエクスペリエンスを提供します。スマート照明やスマートロック、エアコンシステムから、セキュアカメラレンズやスマートスピーカーまで、アップルはこれまでスマートホーム市場の大きな可能性から目を離したことはありません。

とは言え、アップルが現在公表しているデータによれば、スマートホームの開発はあまり進んでいないようです。それはまだ注力すべき市場の「弱み」として認識されていないのかもしれません。しかし、たゆみない研究開発やアップルとその他の大手テック企業との熾烈な競争を踏まえれば、スマートホームの未来に対する自信を失うべきではありません。現実的に考えて、システムの統合を実現し、実行可能なホームオートメーションを一般の人々に提供できるのは、大手企業だけだと思われます。

消費者

スマートホームのスタートアップが行う販売説明会についての話を聞いたことがあります。将来の市場の成長に寄与する要因を分析したところ、1985年以降に生まれてインターネットに接続された時代に育った男性が、ターゲットとなる主な消費者層であり、スマートホーム市場の爆発的な成長を担う重要な要素であると特定されたそうです。

しかし、実際にはそうはいかないかもしれません。そうした人々は、ハイテク製品に強い関心を持っているかもしれませんが、同時に最も好みがうるさい人々であるからです。製品から満足のいく経験が得られない、あるいは製品に欠陥がある場合、それを最初に拒否するのもまた彼らなのです。

スマートホーム製品は、基本的には消費財です。技術のことをほとんど知らない大多数の人を引き付け、購入したいと思わせることができて初めて、成功したと言えます。All View Cloudが最近、Tmall Genieとそのパートナーエコシステムについて分析を行い、スマートホーム製品を3つ以上購入している消費者は主に1985年以降に生まれた若い母親であることを明らかにしました。この重要な調査結果は、さまざまな機能の設計、人間と機械のインターフェース、未来のスマートホーム製品のロジックに間違いなく影響を与えるでしょう。

既存のスマートホーム製品は、ほとんどがIFTTT(If This Then That)という設定・制御方法を利用しています(過去の設定を利用してユーザーが帰宅すると自動的に玄関の照明をつける、ユーザーの好みに合わせてエアコンのスイッチを入れるなど)。しかし、ほとんどのユーザーにとって、システムの構成プロセスは依然としてあまりにも複雑です。ほとんどのユーザーは、デバイスをコントロールしたがりません。それどころか、時間をかけて学ぶことなくすぐに使える簡単なものがほしいと思っているのです。

現在、その目標の達成は、開発者の知識と知恵にかかっています。私たちは、人工知能(AI)というもう1つの促進要因の成長を待つしかないのかもしれません。スマートホーム機器は、ユーザーの気持ちを読み取り、「思慮」を巡らせ、ユーザーの微妙な動作から彼らの要求を観察し、ユーザーの行動に関するデータ分析のほか、機械学習やその他のAI技術を活用して正確なフィードバックを行うことしかできません。

これが、スマートホームが大衆市場に届き、私たちの生活に完全に溶け込み、私たちの存在価値を自然に高める唯一の方法です。

スマートホーム技術の開発に関しては、以下の3つの段階が特定されています。

  • 個々の製品に基づく分散インテリジェンス
  • 技術の統合によるホームオートメーション
  • データ主導のサービスインテリジェンス

スマートホームオートメーションの開発にあたっては、これら3つの重要なマイルストーンを達成しなければなりません。それができて初めて、私たちの住宅は本当の意味でスマート化されるのです。それには懸命な努力と忍耐が必要です。

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